相続遺産を独り占めされそうな場合
■遺産相続について
相続は、人が亡くなると発生します。相続においては、故人は「被相続人」と呼ばれます。そして、故人の配偶者や子など、被相続人の遺産を受け継ぐ人たちのことを「相続人」といいます。たいていの場合、遺産が1つとは限りませんし、相続人も複数人いることが多いです。そのため、遺産を引き継ぐために相続人たちで遺産を分け合う必要があります。これを遺産分割といい、相続人同士が話し合いを行うことで遺産分割方法を決定します。
この話し合いのことを遺産分割協議といいます。
このように、相続が発生すると遺産分割をして、それぞれの遺産が確実に引き継がれるまでに様々な手続きが必要となります。
しかし、なかには遺産を独り占めしようとする相続人が現れることもあります。
ここでは、そのような事態に備え、遺産の独り占めがなされそうな時の対応方法等について、詳しく解説していきます。
●遺産を独り占めすることはできるのか
そもそも、遺産を独り占めすることは現実的に可能なのでしょうか。実際に起きた、遺産の独り占め事例をいくつか紹介していきます。
①被相続人と相続人が密接な関係にある場合
例えば、被相続人の生前に同居していた場合には、被相続人の財産がどれくらいあるのか知っていることが多いです。そのため、勝手に不動産の名義を変更してしまったり、貯金を自分の口座に移し替えてしまったりして、遺産の独り占めが行われることがあります。また、近しい関係から、被相続人を巧みに言いくるめて、自分に全財産を相続させるような内容の遺言書を書かせてしまう、という手法も考えられます。さらに、被相続人の成年後見人となって、財産管理の包括的な権限を利用することで、財産を横領してしまうというケースもあります。
②強引なやり方で独り占めする場合
遺産分割協議を行う際に、自分が遺産を独り占めできるよう、強引な主張を行うケースもあります。例えば、勝手に1人で遺産分割方法を決めてしまい、他の相続人に無理やり合意させるといった手法もありますし、自分が親の介護を全部負担していたのだから、遺産を全部もらって当然だ、といった言い分を主張するケースもよくある事例です。
③従来の慣習が残っている場合
住んでいる地域によっては、長男が全部遺産を相続するものだといった、従来の慣習が根強く残っていることもあります。
このような慣習が残っていると、長男だからという理由だけで遺産の独り占めがなされてしまう可能性があります。
●遺産を独り占めされてしまったら
ここからは、遺産を独り占めされそうな場合、あるいは独り占めされてしまった場合における、具体的な対応について説明します。
先ほど確認した、①②③に対する個別の対策を以下に紹介しますので、確認していきましょう。
①被相続人と相続人が密接な関係にある場合の対策
定期的に被相続人とやり取りをしておくことが、遺産の独り占めを未然に防ぐことにつながります。
②強引なやり方で独り占めする場合の対策
遺産分割協議において強引な主張をされたとしても、きちんと自分にも相続権があることを主張することが大切です。
また、介護を積極的に手伝う等の努力が必要な場合もあるでしょう。
③従来の慣習が残っている場合の対策
なかなか慣習を変えることは難しいのが実情です。しかし、弁護士に依頼をし、他の相続人にはたらきかけてもらうことが有効な方法になります。
もし、遺産を独り占めされてしまった場合には、不当利得返還請求や遺留分侵害額請求をすることで、損害の回復をすることになります。
●相続に関するご相談は当事務所まで
弁護士 佐藤英生は、相続に関するご相談を幅広く承っております。
遺産を独り占めされてしまった場合の対応についてお悩みの方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。