養育費はいつまで支払うか
■養育費とは
養育費とは、子どもの成長のために必要な費用のことをいいます。子どもが成長するまでには、生活費のほか、教育費や医療費などの諸費用がかかります。
これらの費用として、養育費は非常に重要ですし、子どもには養育費を支払ってもらえる権利があります。
養育費は、基本的に子どもが「未成熟子」の期間に支払うものです。「未成熟子」とは、社会的・経済的に自立していない子どものことをいいます。
養育費の支払い期間については、このあと詳しく解説していきます。また、養育費の支払額については、受け取る側(権利者)・支払う側(義務者)が話し合い、決定することになるでしょう。もちろん、当事者間での合意があればそれで決定することができますが、支払額の決定に困った場合には、支払額の目安として相場が参考になります。支払額の相場は、養育費算定表というもので確認できます。
養育費の支払い方法に関しては、月々一定額を支払う方法と、支払い期間全体で支払う金額を一度に支払う方法(一括払い)があります。この点についても、当事者間での話し合いで決定することになるとは思いますが、できれば一定額を支払う方法が望ましいとされています。なぜなら、生活費や教育費、医療費等の諸費用は、そもそも長期的かつ継続的に必要な費用であり、その性格を加味すれば、養育費も長期にわたり継続して支払うものと考えるべきだからです。
●養育費の支払い期間はいつまでか
では、養育費の支払い期間はいつまでなのでしょうか。養育費の支払い期間についてですが、実は、法律上、支払い期間を規定している条文は特にありません。
しかし、一般的には先ほど確認した通り、子どもが社会的・経済的に自立するまでの期間、すなわち「未成熟子」の期間とされています。
では、未成熟子とは具体的にどのような場合をいうのでしょうか。
たいていの場合、子どもが成人するまでが目安といわれています。これまでは成人は20歳とされていましたが、民法の改正により成人年齢が18歳に引き下げられました。しかし、成人年齢だからといって必ず18歳までを支払い期間とする必要はありません。子どもの状況に合わせて、社会的・経済的な自立をすることができるまでを支払い期間とすればよいでしょう。
例えば、4年制大学に進学する場合には、22歳まで学業をしていて教育費がかかります。また、病気や障害を抱えていて医療費がかかったり、就職が困難で経済的な自立をするまでに時間がかかったりする場合もあります。このような場合には、支払い期間を延長して、自立できるまで養育費を支払ってもらうことが可能です。一方、未成年であっても、就職していて、自分自身で安定した収入を得ている等の場合には、支払い期間を短くすることも可能です。
●養育費の支払い期間の決定について
養育費の支払い期間については、支払額や支払い方法と併せて、当事者間の話し合いにより決定されることになります。権利者と義務者間での話し合いを行う際には、両者が希望を出し合い、しっかりと協議することが大切です。はじめからきちんと詳細に決定しておくことで、後々のトラブルを防止することができます。
また、トラブル防止の観点から、話し合いにおける決定事項については口約束で済ませるのではなく、書面を作成しておくことをお勧めします。
お互いが確認し合いながら書面化することも有効な方法ではありますが、その書面には法的拘束力がありません。
そのため、公証役場において公正証書化するとより良いでしょう。多少の費用はかかってしまいますが、法的拘束力のある書面となります。
●養育費の支払いに関するご相談は当事務所まで
弁護士 佐藤英生は、養育費に関するご相談を幅広く承っております。
養育費をいつまで支払えばよいのか、養育費の支払いに関する取り決めに関してお悩みの場合には、当事務所までお気軽にお問い合わせください。